満退者の素浪人日記

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help リーダーに追加 RSS イスラム船舶投資ファンド マレーシアで始動

<<   作成日時 : 2008/06/27 00:05   >>

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 イスラム金融の発展は日進月歩で続いているが、マレーシアで新しい「イスラム金融商品」が登場した。投資家から資金を集めてファンドを作り、それで船舶を買って運行し、その売り上げを投資家に配当するという仕組みを持つこのファンドは、イスラム船舶投資ファンドという。マレーシアで、このイスラム船舶投資ファンドが立ち上がった。


 立ち上げたのは、マレーシアの国営信託投資会社であるアマーナ・ラヤ社(Amanah Raya Berhad)の子会社であるアマナ・ラヤ投資銀行・ラブアン(ARIB)と、昨年クウェート、サウジ、カタールによる共同出資で設立されたイスラム銀行であるアジアン・ファイナンス銀行(AFB)。ファンド名は「サフィーナ・イスラミック・ファンド」(Safeena Islamic Fund)で、サフィーナ(سفينة)とはアラビア語で「船」を意味する。


 ファンドの仕組みはこうだ。まず投資家から10年間の満期型(つまり、中途解約や追加投資が行えない)資金を集める。対象者は、マレーシアや中東の限られた投資家であるという。集める金額は10億リンギ(約330億円)。運用資金のうち30%を株式投資、残る70%を船舶の購入・運行で運営する。その際、イスラム法であるシャリーアに則って株式や船舶の運用を行うのが特徴となっている。この仕組みは、不動産を運用する不動産投資ファンド(REIT)に似ており、「船舶版REIT」と言えるだろう。


 サフィーナ・イスラミック・ファンドは、運用利回りを年間10%を目指すようだ。また、運用会社として両金融機関の合弁会社であるサフィーラ社をマレーシアのオフショアセンターであるラブアン島で立ち上げ、将来的には上場を目指すという。また、需要が収益が見込まれるのであれば、ファンドの規模を拡大していく計画もあるようだ。


 私は、船舶投資ファンドというのは、世界でどの程度需要や供給があるのか調べてみたところ、「住友信託銀行 調査月報 2007年7月号」において、国際的な動向や仕組みが詳しく解説されていた。これによると、ここ数年で国内外において船舶投資ファンドの設立が相次いでいるという。これは、中国など成長著しい国・地域に対する原油や鉄鋼、各種資源を輸送する需要が伸びたことによる海運業界の好調さが背景にあるようだ。そこで、船舶や海運への投資の一形態として、このような船舶投資ファンドが生まれた。とりわけ力を入れているのがシンガポールで、船舶ファンドへの税制優遇措置を実施しており、これを受けて複数のファンドが上場している。こうした国際的な状況、とりわけシンガポールの好調さに対し、お隣マレーシアも黙って入られないところなのだろう。マレーシアの独自性を出すという意味で、イスラミックな特長を付与した船舶投資ファンドが生まれたようだ。


 イスラミックと名がつく以上、投資する船舶でイスラムに反するようなものが運搬されるのは、忌避されると思われる。例えば、アルコールや豚を運搬することは認められないに違いない。もっとも、同ファンドは「主に化学製品用船舶やその他の製品輸送船舶、海底油田・天然ガスサポート船舶などの海上輸送船舶購入に投資」(マレーシアナビ)することを念頭においているようなので、食料品は最初から眼中にないかもしれない。


 この新しいタイプのイスラミック・ファンドであるが、「金融商品」という視点から見れば「投資対象が船舶」ということで、その独自性が現れているが、これを「産業サイド」からみた場合、これは単なる金融商品だけには収まらないインパクトを孕んでいると見ることが出来る。というのも、ファンドを運営するためには、シャリーアに照らし合わせる必要があるわけで、「イスラムに適った船舶・海上運輸」でなければならない。ということは、海運というトランスポーテーション、あるいはロジスティクスという分野においても、シャリーアというイスラムの価値判断がなされ、この価値付けがなされることになる。


 すでにハラール産業やイスラム金融のように、イスラムの価値付けがなされた商品を供給・生産する分野が興っている。これに対して、消費する側はもちろんムスリムであり、また非ムスリムも消費することは可能である。こうした生産と消費を結ぶ流通の分野においても、イスラムの考えが持ち込まれるようになってきたようだ。「川上から川下まで」あるいは「製造・流通・販売・消費」において、イスラムという価値の連鎖(value chain)の構築が、マレーシアで着々と行われているようだ。


 アマナ・ラヤ投資銀行の担当者は、「船舶だけでなく、航空機(空輸)のファンドも計画中だ」と明かしている。イスラミック・トランスポーテーション、という産業が、今後、文字通り世界を「駆け巡る」ようになるのかもしれない。


 参考: Bernama
      マレーシアナビ!
      住友信託銀行 調査月報 2007年7月号
      Amanah Raya Berhad
      

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